或る人の記憶

生きづらさを抱えた人間が日々感じたこととか買ってよかった物とか作ったごはんとか色々書いてくブログです。

久しぶりに凪のお暇を読んで泣いた、自分を変えたくて承認されたい女が新宿を彷徨う話。

2日連続で都内に通院してきました。

電車で1時間強、道中は暇なので漫画を読んでますが、コミックシーモアでずっと前に買って途中までしか追えてなかった『凪のお暇』を読みました。

 

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そしたら電車の中なのにボロボロ泣いてしまって困りました。

私、疲れてたんだなぁ…

 

メンタルクリニック帰りで心が弱ってたのかもしれません。

それと31歳になった今だからこそ感じることもありました。

その感想や考察、私の経験と照らし合わせて共感したことなどを綴っていこうと思います。

7巻までのネタバレも含みますので、まだご覧になっていない方はブラウザバックをお願いします。

 

 

 

はじめに:凪のお暇とは

 

空気を読んで自分を殺してふるまってきた28歳OLの凪は、内緒で付き合っている営業部のエース我聞慎二の存在だけが切り札だった。しかし、慎二が他の同僚に凪のことを悪く言っている現場を目撃して過呼吸で倒れる。

 

仕事も家財もスマホも捨て、立川の3万の6畳1間で人生をやり直すことを決意。

お前は変われないと呪いのことばを吐く元カレ慎二の存在や、「ちゃんと」の呪いをかける母親の存在に苦しみながら、ご近所さんとの関係、強烈な隣人男性との恋などを通して成長していく様子が描かれたヒューマンドラマ。

 

 

 

以下、感想と自分語り

 

最初に読んだ時は、慎二も凪のお母さんも嫌なヤツだと思ってました。

同僚との関係も無理してる感があって、見ててしんどかったです。

読み進めるうちに、ただのモラハラだと思ってた慎二との関係も、お互い言葉足らずや会話不足ですれ違ってたことが分かり、憎めなくなります。

 

 

凪の年齢は28歳、この漫画を初めて読んだ時は凪より少し下くらいだったと思います。

まだ私が会社員の時に通勤の電車で読んでいて、5巻まで読みました。

 

当時の私は自分に自信がなく、元カレと別れた後で未練タラタラだったり、仕事や職場の人間関係に悩んでたりして、周りに合わせてる自覚もないまま無理して空回ってました。

 

今思うと空気読んでたけど、当時は空回ってる自覚が強すぎて、空気読めてないと思って悩んでました。 

なので凪はこんなに空気読んでいて、色んな知恵を持ってたり、立川から川崎の海まで自転車で走っていけるのがすごいなと尊敬したり。

 

 

だけど、凪の人間に対して興味がなくて潔癖な所とか、人に興味がないのに自分には興味持って欲しいところとか、自分とそっくりすぎて共感してました。

 

お世話になったスナックでボーイとして働く凪に、水商売向いてないと助言する慎二。

私も水商売はやったことないんですが、新しい世界を知りたくて興味持ったりしたので、なんか耳が痛いなぁと(笑)

 

他人の趣味や生い立ちには興味なく、嫌なヤツは嫌なヤツというフィルター越しでしか見れずに見下して。

凪が嫌なヤツだと思ったスナックの常連さんも、共通の趣味を見つけて懐に飛び込んでいける慎二。

そんな慎二を尊敬する凪…。

 

 

私の元カレも営業職だったので、凪の気持ちが分かります。

きっと自分にないものを見て尊敬して、同じようになりたかったんだろうなぁと。

でも、彼の仕事柄飲みが多くて時間が合わなかったり、会話不足ですれ違いが多かったりして、本当に愛されてるのかずっと不安で。

 

私の元カレも別れた後も不誠実で、ただ最低なヤツだったと思ってましたが、今となっては話せなかったことが多すぎました。

それは多分、嫌われたくなくて内面をさらけ出せなかったんだろうなと。

 

だけど、元カレを心の底で憎みながらも、私自身は職場の人間関係がうまく行かず、一度嫌だと思った人は同じ人間として見れませんでした。

心を閉ざして自分をさらけ出せず、他人も嫌なヤツというフィルター越しでしか見れず…

 

元カレは嫌だと愚痴りながらも会社の人との飲みを断らず、どんどん出世していて。

凪と違ったのは、そんな彼を立ててあげたり労ったりできなくて、嫌なら断ればいいじゃんと言い放っていたこと。

愛されてるか不安で早く帰ってきてほしかったんだなぁと…

 

それで関係が悪化して別れることになって、自分がいけなかったんだと苦しみました。

今となっては相性が悪かっただけだと思えますけどね。

 

 

 

凪は、何もない自分が嫌で、変わりたくて必死にもがいてます。

きっと、自分も他人も「良い」か「悪い」か、「優れてる」か「劣ってる」かの物差しで測ってしまってるんだろうなと思います。

それこそ彼女の母親がいう「ちゃんとしなさい」という呪いのせいかも。

 

自分に自信がないから、自分と他人を比べて劣ってると思えばそれはもう「自分のダメなところ」。

それが良くも悪くもその人なんだと割り切れないから、必死でもがいてるんだなぁと。

 

 

今回久しぶりに読んだら、凪と怖いくらい行動や考えが似ていてちょっとびっくりしました…

読み始めた当時はまだ「ちゃんと」働いていたから実感もなかったけど、うつ病になってドロップアウトしてからずっともがいてます。

 

元カレと別れたばかりの頃も、一人電車で冬の海に行って海鮮丼だけ食べて帰ったり、バイクの免許を取ろうとするも、心が折れてやめてしまったり…

元カレに依存したり、マッチングアプリの相手に依存して、結局自分の時間を疎かにしてしまったり…

 

作中で出てくる「幸せの青い鳥探し」がまさにそうで、必死で変わろうとしても人はそんなに変われないという話を見て、自分のそんな経験を思い出しました。

 

休職してからも、焦って色んなことを始めようとして空回りして病気が悪化したり、コロナや世界情勢への不安から、占いや政治にのめり込んでしまったり…

今は、ようやくSNSと距離を置いて、新しいことに挑戦してるところです。

凪ちゃんよりも気づくのが遅くなっちゃったけど。

 

 

凪のお暇から影響を受けたアラサー女が当日取った行動

 

凪のお暇を読んで自分と照らし合わせてたら、自分も変わりたいって思ってきました。

SNSと距離を置いたといいながら、知人向けの小規模な鍵アカウントですら、自分を見てほしくて必死なのにうんざりしてしまって…

 

いつもなら通院後は直帰するところなんですが、せっかく有給を取ってたので都内でゆっくりすることに。

まずは、大学病院の外のカフェスペースで、自販機で買ったミルクティーを飲みながら、寒空の下で凪のお暇の続きを読んでました。


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本当はこの写真もSNSに投稿しようと思ったんですが、スベってんぞっていう慎二の言葉を思い出してやめました。

誰からの反応もないと切ないんですよね…

あと、変わりたいとSNSでアピールしたら今までと変わらないなぁと思って。

 

その後は、病院の最寄り駅の商業施設を見て、何もなくてトイレだけ行って出ました。

新宿乗り換えだから、久しぶりに大好きなミロードや京王地下街を見ようと。

でも、これっていつもと変わらないな…と思いつつ、最近はお金がなくて服も安物で済ませてたので。

 

 

以前は新宿で働いていて、よく京王地下街に通ってたんですが、使う路線が違うと目的地にたどり着くのも一苦労…

久しぶりに新宿ダンジョンを彷徨いました。

 

私にとって初めての新宿駅は、新卒の時の研修の乗り換え駅であり、元カレに会うために行った駅。

地元で育ち、地元で進学して、まともな旅行も留学も行かなかった私は、電車やバスの乗り方もまともに分からず。

 

昔と違うのは、目的地さえあれば、どの口まで歩いて行けばいいか分かってること。

 

とりあえず京王改札まで向かって、「これってどこから出るんだろ…」って絶望して、地下のイベントスペースに行っちゃって、服や古本がありました。

毛皮の服を見て、かわいそうだからここは見なくていいなと思ったり。

古本を見て、何を手に取ったらいいか分からない、今は必要としてないと思ってスペースを後にしました。

 

子どもの頃は図書館が唯一の居場所でした。

だけど、物を捨てられない私は物を増やすことに抵抗がある。

自分を変えたくて断捨離しなければいけないと衝動に駆られて、大好きな服を手放して後悔したり。

だけど、本を読むことが人生を豊かにするのは間違いないと分かってます。

必要な時は、欠けていたパズルのピースがはまるかのように受け入れられます。

今は違うことがやりたいんだろうなと。

 

 

そして、京王地下街に到着。

大好きなラーメン屋の神座が目に入りました。

 

私は小さい頃は大阪に住んでいて、父によくラーメン屋に連れてかれてました。

神座、天下一品、新福菜館は今も大好き。

だけど、父の趣味であるラーメンにつきあわされるのも本当はちょっと嫌だったり、そんな父への母の愚痴を聞いて、母に共感してあげたりしてました。

 

父にラーメンの写真を送ってあげたら喜ぶんだろうな。

でもお腹空いてないし、そんな空気読んだ考えは無視して歩き続けます。

無意識に親を喜ばせようとするのも、凪ちゃんと同じ。

 

 

とりあえず入ったヨドバシカメラのキャンプコーナーを見て、キャンプもやってみたいけど始められてないなぁと思い出しました。

 

きっと、やり方も分からないし私にはハードルが高すぎるんだろうなと。

やりたいのはキャンプに興味があるのではなく、新しい世界を見て自分を変えたいからなんだろうなぁとも思ったり…

まずは凪ちゃんとゴンさんみたいに、公園でピクニックくらいから始めようとヨドバシを後にしました。

 

京王地下街を見終わったら、南口の小田急に向かいます。

って、新宿彷徨ってるだけなのに私いろんなこと考えすぎじゃない…?って気づきました。

 

これはネタになる。

でも考えてることが多すぎる。今書いてて絶望してます。

読んでくれてる方もこの文章量見てブラウザバックだろうなぁと(笑)

凪のお暇みたいにコミックエッセイが描けたらいいんじゃない?とも思ったり。

 

 

ようやく念願のミロード。

モザイク通りが閉鎖されて、ミロード自体も閉店という話も聞いてたけど、いつまで見れるんだろうなぁ。

来れるうちに来ておかないと。

 

エスカレーターで上がっていくと古着屋が目に入ります。

凪がいとこの結婚式に着ていくドレスを探すために、ゴンさんと一緒にエリィさんのいる古着屋に行ったのを思い出して、お店に入ります。

 

私は古着が苦手です。

だけどその古着屋は魅力的でした。

紫のジャケットとか、ベロアのパーティドレスとかあるんです。

すごく個性的で魅力的な服で、これを持ってた人はどんなストーリーがあったんだろうなと思いを馳せたり。

 

古着屋を後にして、ふと目に入った和装のお店。

トルソーには、和服風デザインのロマンチックなワンピースが着せられていて。

Twitterでも和服の話題をよく目にするので、こういう現代風な和装の存在は知ってましたが、実際に見て興味を持ったのは初めて。

 

音楽デザインの可愛らしいワンピースや、ベロアで蜘蛛の巣デザインの羽織、鍵デザインの帯飾りなど。

店員さんが紹介してくれて、きらびやかでとても可愛いけど、私には手が届かない物だなと思って、何も買わずに出ようと思ってました。

 

そこでふと目に入った、袴風のラップパンツ。

黒と紺のバイカラーで、巻きスカートは前後入れ替えられるリバーシブルでした。

カッコいい…!こういうカッコいいファッション、昔から憧れてた…!

 

自分で服も選べず、高校生でも校則通りバイトをやらず、母が求める女の子になりきってた私。

 

本当はNANAV系のようなカッコいいファッションにも憧れてたけど、周りがハマってる物にハマるのは負けた気がしたり、田舎の学校で不真面目な生徒が多い中で真面目でいたいと思って、誰からも求められてないのに真面目を貫き通しました。

 

今はその反動で刈り上げショートにモード系。

陰陽師や平安貴族のような服装も好きなので、今回見つけた服に心躍りました。

 

色んな服を試着させてもらって、リバーシブルの振り袖ブラウスと袴風パンツを購入しました。 

お高いけれど、本物の着物はもっと高いんだろうなというのは知っていたし、このデザインでこの値段なら全然アリだなぁと。

手数料のかからない2回払いで…(笑)

 

その後も色んな店を見て安くてオシャレな食器を買ったあたりで、空腹感より先にエネルギーが切れたので、カフェでデザートを頂いて帰りました。

何かに夢中になると空腹も感じないのは、気をつけなきゃいけない自分の性質です。

 

 

まとめ:凪のお暇を読んで何か変わったか

 

病院行って長時間ショッピングしただけなのに、いつもより何か違うと思えたのは、年齢を重ねて凪のお暇を読んで、見える世界の解像度が上がったおかげなのかもって思えました。

昔読んだ時は凪より年下、今は年上で、今だからこそ分かることもあれば、今でもハッとすることもあります。

 

凪の生きづらさも、慎二にひどく言われて傷ついた気持ちも、慎二が本当は凪を好きな気持ちも理解できて、ボロボロに泣きました。

 

印象的だったのは、慎二が空気読んで同僚に凪の悪口を言ってたけど、凪もお母さんの機嫌をとるためにいとこを悪く言ってたこと。

相手が言わなくても望んでることが分かって、悪者になれてしまうふたりは実はそっくり。

 

私も言葉では望まれなくても、親や周りの人が望んでそうなことを言ったり、会社の人に嫌われてないかビクビクしてたことに気づいて。

無理してた自分に気づけたのは、自分が変われたおかげもあるんだろうなと思います。

 

うつ病になって凪と同じようにお暇を頂いて、自分が嫌で変わりたいと焦ってたことに気づいて。

今も仕事で悩んで、メンタルクリニックに久しぶりに通ったりなんかして、やっぱりそう簡単に変われないなぁと。

 

だけど、自分は「悪い」とか「劣ってる」じゃなくて、良くも悪くもそういう人なんだと受け入れられたらなって思います。

「ちゃんと」できない自分でもそれが人間らしいし、それでも変わりたいと行動できる凪も人間らしい。

作中でも言われてたように、人生は映画です。

魅力的なストーリーが描けたらいいなって思います。

 

すごく長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました!